水の契

幻想郷のこと
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※汚れた水の画像があります。苦手な人は閲覧を控えてくださいね。

様々な商店がずらりと並び、のれんからのれんへと人が行き交う里の大通り。
その通りを西へひたすら真っすぐ進んで町並みを越え、緑豊かな野を越えた更に先。
その道が妖怪の山から流れる川と交わる所に、コンクリート作りの古い建物があります。

その建物はちょっと古臭くて不気味な雰囲気に満ちていますが、幻想郷にとってとても重要な役割を担っています。

突然ですが、みんなは流しに捨てたラーメンのスープが、その後どうなるかなんて考えた事はありますか?

捨てられたラーメンのスープは、道の下に埋められた配管を通って、この古臭いコンクリートの建物にたどり着きます。

ここは幻想郷唯一の浄水場。

今回は、その浄水場の仕組みなんかをちょっぴり紹介しちゃいたいと思います。

初めの写真はこちら。
幻想郷中の汚れた水が、まずこの水槽へと集まります。

原水槽

汚水の流れて来るがままに処理をしようとすると、水の量が不安定で管理が難しくなるので、ここから決まった量の水だけがポンプで汲み上げられ、隣の水槽へと送られます。

ばっき槽

ものすごい色をしていますね。
それに何だか水面がブクブクしています。

でも、これは水の汚れによるものではありません。

この水槽では、目に見えないほど小さな微生物を大量に繁殖させているんです。
その微生物の数があまりにも多いので、本来目に見えないはずの微生物の姿が、水の色となって見えているんですよ。
水面がブクブクしているのも、微生物が呼吸できるように空気を絶えず送り込んでいるからです。

無数の微生物は送られてきた水の汚れを喜んで食べてくれます。もちろんラーメンのスープもです。
食べた汚れは微生物のお腹の中で細かく分解されて、排泄されます。そして排泄されたものを、また別の微生物が食べて更に分解していきます。
そうやって何度も何度も分解が進んでいくと、水の汚れは段々と少なくなり、代わりに丸々と可愛らしく太った微生物がどんどん増えていきます。

その段階になった水は、また次の水槽へと移されます。

沈殿槽

大きな水槽の真ん中に、さっき見たのと同じ色の水がありますね。
先程の水は、この水槽の真ん中に送られて来ます。
仕切りの中と外では水の色が全然違いますが、真ん中の丸い仕切りは水面あたりをちょこっと区切っているだけで、その下はすべて繋がっているんですよ。

前の水槽で丸々と太った微生物は、静かに置いておくと下に沈んでいくので、仕切りより上には微生物がきれいにした水だけが上がってくるという仕組みですね。

澄んだ上水は水槽の周りからあふれるようになっていて、そのまま次の水槽へと流れます。

第2ばっき槽

見違えるようにきれいになりましたね。
奥には立派なコイが何の問題もなく優雅に泳いでいます。
この水槽では再び空気が送られて、水底に敷かれた小石に付着したコケや、そこに住む微生物が更に細かな汚れを分解してくれています。
コイは水槽のコケや水草を適度に食べて、増えすぎるのを防いでくれますし、もしもの時はその命をもって、水質のバロメーターとして働いてくれるんですよ。縁の下の英雄ですね!

水の出口

沢山の工程を経てすっかりきれいになった水は、パイプを通って静かに川へと還されます。

というわけで、以上が浄水場の紹介でした。
とっても画期的で、斬新な施設でしたね!

幻想郷にとって重要な働きをしている浄水場でしたが、実は始めっからここにあったわけではありません。

昔々、この浄水場ができる前は、里からの汚い水がそのまま川に流れ込んでいて、川は常に濁っていました。
もちろん、川に住むかっぱ達はとても迷惑していましたし、人間達もその事を知ってはいたものの、どうして良いのか分からず、肩身の狭い思いをしていました。
やがて人間とかっぱはその事について何度も話し合うようになり、何度も衝突しながら、人間は労力を、かっぱは技術をそれぞれ出し合う事で、この浄水場を完成させたんです。
そして時が経った今でも、浄水場の運転や点検は人間が行い、かっぱは運転に必要な資材や機械を提供し続けています。

この浄水場は水をきれいにするだけの存在でなく、人間とかっぱが互いに思い合い協力し合える盟友である証でもあるんですよ。

いいお話ですね!

ということで、幻想郷の浄水場のお話でした。

それではまたお会いましょう!
あうーん!

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